『不思議の国とアリス』は、「不思議の国のアリス」(ルイス・キャロル著)を題材とした、約1時間程度(予定)のCGアニメーション作品です。とはいえ、何しろまだ「作りかけ」なものですから、どんな作品になるのかは誰にも分かりません。完成はいまのところ2005年9月を予定しています。
でも、3DCGでつくられた人形たちは、すでに次々と動きだし、いきいきとおしゃべりやふざけ合いを始めています。だから、はじめてこのサイトに来て下さった方、まずは『作りかけお見せします』のコーナーを訪れてみて下さい。『今週のムービー』では、最新の作りかけムービーをちょっとだけ見ることができます。『今週のムービー』は毎週水曜更新、これまでの制作部分についても『以前のムービー』でチェックできます。「作りかけ」なので髪や服など十分表現されていない場合も多く、お見苦しい点もありますが、もうちゃんと「生き物」として動きまわっていることだけはお伝えできると思います。
『不思議の国とアリス』がどんな作品になるのか?それを是非、これからあなた自身の目で確かめていって下さい!
それでも、全部できるまで待ちきれない!というあなた、アリスと一緒に「不思議の国」の住人たちと少しだけお話してみませんか?下の画面をスクロールすると、アリスが「不思議の国」に落ちていきます。
「不思議の国のアリス」という作品があります。19世紀イギリスで生まれたこのオハナシは、だじゃれの好きな子供も、言語コミュニケーションの問題を考える学者も、ハッパでラリったヒッピーも、I'm the eggmanと歌うミュージシャンも、ゴスロリな女の子も、みんな巻き込んで、大勢のファンを生み、世界各国語に訳され、ディズニーからヤン・シュワンクワイエルまで、あるいは、別役実から結城座まで(幅狭い?だったら、伊藤つかさまで、でも可)幾度と無く舞台化、映像化が試みられてきました。原作者のルイス・キャロル自身も、劇中でアリスに「絵もオハナシもない本なんて、意味なさすぎぃ」と言わせているように、挿絵を重要な要素として考えていましたし、また、その舞台化にもとても熱心だったといいます。
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しかし、肝心のその原作テクストは、コトバによってしか表現できないと思われるシーンが目白押しです。例えば、有名なチェシャ猫のくだり。「ニタニタ笑いなしの猫なら、何度も見たことあるけど、猫なしのニタニタ笑いは、ハジメテ」とつぶやくアリスが見たものは何だったでしょうか。テニエルやディズニーが描いたような、「笑う猫が口を残して消える」という表現では、口も猫の一部ですから「猫ありのニタニタ笑い」でしかありません。例えば「ニタニタ笑いする人間」なら「猫なしのニタニタ笑い」になりますが、そんなものはアリスも見たことがあるでしょうし、チェシャ猫が「ニタニタ笑いする人間」だとしたら、驚いたアリスのセリフは違ったものになったでしょう。全編、そんな調子が目白押しな、言葉自体のファンタジーに支えられた作品ですから、これを原語(英語)以外で表現するだけでも、つまり日本語に翻訳するのもまたかなり無理が出てくるのです。「隣のうちに囲いができたってねぇ」「へぇ」を英語に訳せ、と言われているようなものです。全く困ったものです。
では、そんなものを映像化しようなんて企画を立てなければいいじゃないか、と言われれば、全くその通りでございますなのですが、さて、立ててしまったものはしょうがないので、では、どうしましょうか、と。
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例えば、「隣のうちに囲いができたってねぇ」「へぇ」という会話の「気分」というものがあるとします。これは、いえ、それこそ翻訳できないともいえるんですが、その言葉に触れたときの「私」の「気分」を他の言語(「気分」を「日本語」で表すときですら、そこに翻訳が仲介しているわけですし、まあ、その「日本語」以前のところはナシにしようじゃないか、という意見もありますが、いや、そうじゃないんだ、という立場を私はとりたいと思いますし、というか言葉で「語り得ない」からこそ映像を作るわけですし、とか、いろいろ)に置き換えて表現することはできるんじゃないかと。とにもかくにも「Alice's Adventures in Wonderland」と「私」は出会い、そのときその影がどこかに落ちたとしたならば、ともかく、その影だか夢だか何だかの記録を残そうとしながらも失敗し、失敗し続けながらもなんとか字や絵や音にすること。しようとすることくらいは、できるんじゃないか、と、言えなくもないんじゃないか。そんな感じのことをしてみようと思います。立体のものが照らされて、平面の影ができるように、気分の影を、(それより情報量の少ない)3DCGという貧弱な表現に転写できるんじゃないか、とも。
「不思議の国のアリス」も、元々、アリス・リデルというひとりの女の子にせがまれて、その娘を楽しませようと即興で作られたプライベートなオハナシです。私も個人的な話しをしようと思います。そして、そんな話し相手の見えるオハナシであることが、一般性を得る力を持つことができるような気がします。
そして、そんな、そういう意味である程度ならば、「不思議の国とアリス」の原作は「不思議の国のアリス」である。とも言えるかもしれません。
「おそらくこれもまた、繰り返されてきた凡庸な『アリス解釈』のひとつでしかないだろう。だとしたら、いや、だからこそ、いったい何が私をこのようにワクワクさせているのか、なおのことそれがわからないのだ」
――平清盛
「愛は家庭に住まうものなんですよ」
――マザーテレサ
「不潔な工場に善良な職工なし」
――フォード