□□□□□□□どうして『0 1/2計画』?

 『不思議の国とアリス』のようなCGアニメ作品を制作販売するためには、少なくないお金が必要になります。このお金を調達するための最も一般的な方法は、大きな企業などにスポンサーになってもらうことです。

 しかしスポンサーは、投資したお金を回収し利益を上げなければいけないので、しばしば作り手に対して「その時代において、より売れるもの」を作ることを望みます。そしてその要求は、時として作リ手本来の実現したい内容と大きくかけ離れてしまいます。

 また今では「作品のためにスポンサーがお金を投資する」のではなく、最初から「スポンサーの意向と予算に基づき『ヒットすること』を最優先目的とした作品が作られる」ことも珍しくなくなりました。「商業主義」と呼ばれる形式です。

 こうした状況は、多くの作り手に「本当にやりたいことを捻じ曲げなければならない」というジレンマをもたらしてきました。「商業主義」の世界においては、本来目的であったはずの「作品」そのものより、本来手段であったはずの「お金」の方が優先されてしまうからです。

 0 1/2計画は、このような現状に反発したり抵抗するのではなく、「そうではない方法」を実際にやってみることを通じて、エンターテインメントとお金を仲直りさせる試みです。

 その名は、フェデリコ・フェリーニ監督の9作目「8 1/2(はっかにぶんのいち)」という映画(9作目が出来るまでを描いたような内容)に因んでいます。

□□□□□□□なぜ予約販売?

 大きなスポンサーの力に頼らず、なおかつどうしても必要になる制作資金をまかなっていくために、『0 1/2計画』はひとりひとりの個人にスポンサーになってもらうという方法を考えました。

 たとえば、大きなスポンサーに100万円出してもらった場合には、良い悪いは別としてもその分だけスポンサーの要求に沿わなくてはいけません。

 ここでは、最初から『不思議の国とアリス』ひいては『0 1/2計画』そのものを面白い、楽しいと評価してくれるひとりひとりの個人から予約販売という形で「支援」をしてもらうことで、観客と作り手の双方にとって最も幸せな100万円の流れ方を目指しています。

 このような試みは、実は初めてのことではありません。偉大な先駆者、先輩たちが、少ないながらも存在しています。

 例えばジャズベーシストの立花泰彦さんは、ご自身のCDを発売するにあたり、制作段階から予約販売という形で個人からの支援を募り、これを制作資金に充当し、成功させています。やはり立花さんのケースも、スポンサーの意向に左右されることなく観客と直接つながっていける作品づくりの提案という側面を持っています。

□□□□□□□あなたもまた0 1/2計画の主役なのです

 『0 1/2計画』のコンセプトに基づき、『アリス』はその制作過程をできるだけオープンにしていきます。制作過程そのものも完成品と含めて楽しんでください。

 また、このことには、ソフトウェアの世界で言うところの「オープンソース」のようにこの過程が今後同じような試みをする人にとっての参考になってほしいという意図があります。

 そしてまた、ここでは作り手と客という固定された関係や、それが当たり前だという前提をいったん取り払います。計画のコアは作品『アリス』ですが、それを巡る全ての人は相互に、限りなく対等に近いということを目に見える形で実現していきます。

 ここを見ているあなたが、もしその気になればいつでも作り手として、担い手として計画に参加することができます。その逆もできます。みんなが当事者であるということを、理屈ではなく仕組みとしてあらわしていければと思います。

□□□□□□□0 1/2計画と地域通貨

 地域通貨をご存知でしょうか?  地域通貨はその名の通り、私たちが日常使っている通貨−つまりお金−に似た機能と役割を持っています。

 ただし、円やドルのように「どこでも使えて、国家がその価値を保証する通貨」と違い「特定の地域やコミュニティの中で、限られた相手としか使えない」という点が異なります。発行元も任意団体からNPO、行政など様々で、仕組みや目的も一様ではありません。

 これだけ聞けば、随分と不便で頼りない存在のように思えます。にも関わらず、地域通貨は世界中で増加を続け、今や3000種類以上も存在すると言われます。

 その理由についてここでは詳しく触れませんが、多くの地域通貨に共通するのは「グローバル経済のなかで、それ自体が目的と化してしまったお金に、手段としての機能−価値の物差しとしての−を回復させる」こと、そして「お金のために個人がないがしろにされない経済をつくる」という動機であり、そこには自ずから、従来の国家通貨に対する批判や、パロディとしての性質が含まれています。

 『0 1/2計画』では、予約販売や支援、またスタッフへの対価等に一部地域通貨を導入し、これを循環させていくことにより、『0 1/2計画』そのものが「目的と化してしまったお金に、手段としての機能を回復させ」「お金のために個人や作品がないがしろにされない」ことを目指す、地域通貨的な試みであることを表現していきたいと思います。


地域通貨についてさらに詳しく知りたい方は以下をご覧下さい。